かつての繁栄の跡が残る宿場町を歩く 町田忍の日本探訪 第2回「北千住」

大正時代の面影が残る大橋眼科

五街道(東海道、中山道、日光街道、奥州街道、甲州街道)を通る宿場町は人々の往来ともに、長い時間をかけて発展してきた。その中でも日本橋に近い4つの宿場町は、江戸四宿(内藤新宿、板橋宿、品川宿、千住宿)とも呼ばれ、江戸に出入りする重要な拠点として発展してきた街だ。今回はかつての繁栄が色濃く残る「北千住」の街を取り上げる。

北千住に残る歴史と猫

日光街道の初宿として1625年に建設された千住宿は、交通量が増大すると共に商人や職人が集まり大いに繁栄した。千住という地名の由来は諸説あり、1327年に源頼朝に仕えた新井図書政次が荒川で千手観音像を拾ったとされる説が有力だ。また松尾芭蕉の「奥の細道」の始まりの場所でもある。

北千住商店街のアーケードが途切れたところに、1918年に建てられた洋館風の大橋眼科がある。1982年に再建し、オシャレなテラスなどのアンティーク部品を利用しているため、様々な時代の面影を残している。

タバコ屋のテラスや、街灯などのアンティークを利用して再建された

1770年に接骨医院を開業した名倉家は古くから「骨接ぎの名倉」として広く知られた名門だ。当時、名倉医院の周辺には宿泊所が複数あり、全国から入院患者が殺到するほど繁盛していた。名倉家の子孫は整形外科医として代々活躍し、現在では8代目となっている。作家の森鴎外も名倉家との交流を持っており、小説『渋江抽斎』で創業者の三男をモデルにした接骨医師を登場させている。驚くことに戦前までは、芸人や相撲取りの診察料は無料だった。それは「人の娯楽のために身を粉にして働いてくれる」人には施術料を無料にしたいという創業者の想いからきている。

江戸時代から続く接骨の名門「名倉医院」

北千住の路地裏を歩くと、そこかしこに様々な時代の面影を見ることができる。1938年創業のお茶屋「中川園の蔵」は別業種から譲り受けた蔵で、関東大震災以前に建造されたものである。

関東大震災以前の建物である「中川園の蔵」

裏路地には必ず猫がいる

商店街のシャッターに描かれた宿場町の賑わい

目に関する悩みを祈願できる「めやみ地蔵尊」では、手書きの絵馬を販売している。この絵馬は江戸時代から手書きでおこなわれてきたそうだ。縁取りした経木に胡粉と美しい彩りの泥絵具で描く千住絵馬として有名だ。

目に関する悩みに効くという言い伝えがある「めやみ地蔵尊」

旧日光街道沿いにある「かどや槍かけ団子」は地元でも有名な伝統のある団子屋だ。店名は水戸黄門が帰郷する時に、松に槍を立て掛けて団子を食べたことに由来する。お団子の種類は「あんこ」と「醤油タレ」の2種類で、1本当たり90円と庶民に優しい値段設定になっている。

焼きたての「かどやの槍かけ団子」

安養院の「かんかん地蔵」はかんかんと小石でお地蔵さんを叩いて祈願すると、その思いが成就するという伝承がある。1699年に建てられたときから、叩かれているのでお地蔵様の顔が摩耗している。

叩くと願いが叶うという伝承がある「かんかん地蔵」

北千住の裏道を歩くとセンジュ出版が運営するブックカフェがある。ここは町田氏が足繁く通う秘密のカフェだ。センジュ出版は、オーナーである吉満明子さんが「地元の街のことを全国の人に伝えたい」という思いから生まれた経緯をもつ。センジュ出版の和室をカフェとして開放しているので、北千住を題材にした本を読みながら、コーヒーを楽しむ至福の時を体験してみるのもいいだろう。もしかしたら町田氏もみつけることができるかもしれない。

ちょっと発見するのが難しいセンジュ出版カフェ


昭和初期の雰囲気の中でコーヒーを楽しむ

銭湯の庭園が素晴らしい美人の湯「タカラ湯」

キングオブ縁側と呼ばれる銭湯「タカラ湯」

庭園の池には沢山の鯉

北千住には数多くの銭湯がありその中でも、1927年創業の「タカラ湯」はキングオブ縁側と呼ばれる庭園があることで有名な銭湯だ。その正面には大きな板の表に「わ」、裏には「ぬ」と彫刻されたものが正面玄関に飾られている。これは「湯が湧いた」と「湯を抜いた」を表すもので、開店と閉店を表すダジャレとなっている。

湯が抜いてあるという意味の「ぬ板」

タカラ湯の建物は1938年に建築されてから既に80年を経過している。以前は廃材などを燃やしてお湯を沸かしていたが、現在はガス燃料に置き換わっている。そのため煙突は使用されておらず、モニュメントとして残されている。タカラ湯は都内でも珍しい井戸水を使った銭湯である。お風呂の種類は気泡風呂、赤外線風呂、超音波風呂、バスクリン風呂、電気風呂と豊富だ。毎週水曜日に男女の入れ替えを行っているので、庭園を体験したい女性は水曜日にいくといいだろう。お風呂上がりには定番のコーヒー飲料を販売しているが、ビールやチューハイなどアルコール類も販売しているので、風呂上がりに庭園で飲むと至極の気分になれるのは間違いない。

沢山の種類のお風呂を用意


タカラ湯主人の松本康一氏(写真右)

定番のコーヒー牛乳を飲みつつ手は腰へ

古き良き時代の伝統を保ちつつ、一方では最先端のブランドショップが駅前に次々と建ち並ぶ不思議な街「北千住」。2つの時代が同時に存在するかのようなこの街が、今後どのような進化を遂げるか楽しみでならない。

@japanではモデル高畠麻奈さんをメインレポーターに迎えて、北千住の様子を動画で紹介いたします。

タカラ湯
〒120-0041
東京都足立区千住元町27-1
お問い合わせ03-3881-2660
全日15:00〜23:30
定休日 金曜日
入浴料(2019年9月現在)
大 人: 460円(18才以上)
中学生,高校生: 300円(12才以上)
小学生: 180円(6才以上12才未満)
乳幼児: 80円(6才未満)

名倉本院
〒120-0034
東京都足立区千住5丁目22−1

センジュ出版
〒120-0034
東京都足立区千住3-16

【参考サイト】
名倉接骨医院

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