雷門の大提灯は畳まれることがある 町田忍の日本探訪 第1回「 浅草」

下町庶民文化研究家の町田忍氏が日本の原点に迫る「町田忍の日本探訪」の第1回は、訪日する外国人がよく訪れる人気スポットとして5本の指に入る「浅草」の街を取り上げる。

いわゆる観光スポットとして知られる浅草エリアは台東区の東側に位置し、東京で最も古い繁華街である。この場所が訪日外国人に人気がある最大の理由は、古き良き日本の伝統文化とスカイツリーのような新名所の魅力を同時に体験できる街ということが挙げられるだろう。

この街を語る上で外せないのが「金龍山 浅草寺」である。浅草寺の起源は飛鳥時代にまでさかのぼる。628年、檜前浜成・竹成(ひのくまのはまなり・たけなり)の兄弟が隅田川で漁業を営んでいた時に、上流から流れてきた観音様を引き上げたことが由来だ。浅草寺の本尊である聖観世音菩薩さまのご利益はとても高く、多くの人々の心を救ったと言われている。

金龍山 浅草寺本堂金龍山 浅草寺本堂

浅草寺の代名詞といえば風神、雷神を左右に配した独特な建造物の「雷門」が有名だろう。942年に建設された雷門は当初は駒形付近にあったが、鎌倉時代以降に現在の場所に移設された。その後1865年の火災で消失したが、1960年に松下電器(現在のパナソニック)の創業者である松下幸之助氏の寄進により復活している。隠しポイントは雷門の底面に刻まれた龍の彫刻だ。

金龍山 浅草寺「雷門」金龍山 浅草寺「雷門」

雷門の大提灯は和紙で構成されているため、パナソニックの主導のもと、京都の老舗企業である高橋提灯株式会社によって10年周期で修復作業が行われている。大提灯は1年かけて材料(竹や和紙)の前準備を行い、専門の職人が3ヶ月ほどで完成を目指す。現在公開されている大提灯は2013年に作成されたもので5番目のものだ。毎年5月に開催されている三社祭の際には、お神輿を通すために大提灯が畳まれるという珍しい光景を見ることできる。また、台風などの強風時にもこの大提灯は畳まれることもある。

浅草仲見世商店街浅草仲見世商店街

雷門から約250メートルの表参道(仲見世通り)には、約90店舗のお土産屋が軒を並べる浅草仲見世商店街がある。ここは連日、お土産を購入する訪日外国人と参拝客で賑わいを見せている。元々参道を掃除していた人々によって、商店街が形成されたことが始まりと言われている。名物は「元祖木村家人形焼本舗」と「元祖人形焼木村家本店」が販売する人形焼だ。人形焼は餡子をカステラで包んだもので、雷門、だるま、鳩、五重塔、雷様と様々な人形が楽しめる。他にも日本情緒を感じさせるお土産を数多く販売している。

二天門二天門

浅草寺の東側にある二天門は1618年に建造された建物で、1946年には国の重要文化財に指定された。浅草寺の建物のほとんどは火災や震災などで消失後に再建されているが、この二天門と室町時代に建立された六角堂は当時の面影を残している。

浅草寺の隣には浅草神社という神社がある。浅草寺と浅草神社は元々一つだったが、明治政府が発令した神仏分離令により分離した。浅草神社は別名「三社さま」とも呼ばれ、3人の神様をお祀りしたのが起源と言われている。また、三社祭の名前の由来となっている。

人力車のえびす屋人力車のえびす屋

浅草の街を観光したい場合は、人力車に揺られながら名所を巡るのも一興だ。人力車のえびす屋は雷門周辺の観光情報などを、順次紹介してくれる。料金コースは1人3,000円~となっているのでリーズナブルだ。俥夫(しゃふ)と呼ばれる人力車を引く若者の中には、多言語に対応しているので安心して利用できる。

古くから歓楽街として知られる浅草六区。かつてこの場所には明治時代のシンボルとして浅草凌雲閣と呼ばれる12階建てのタワーがあった。電動エレベーターが設置された日本初のタワーだったが、関東大震災で消失している。また、この場所には漫才師の榎本健一やビートたけしを輩出した1964年創業の浅草演芸ホールや、商業施設の浅草ROXなどがある。浅草ROXの4階・ゆめまち劇場内にある「30坪の秘密基地」では、明治から大正時代の浅草六区の街並みや懐かしい昭和の銭湯等がジオラマで再現されている。

明治から大正時代の浅草六区のジオラマ屋明治から大正時代の浅草六区のジオラマ

 浅草は観光名所だけではなく、美食家が足繁く通う名店が数多くある街でもある。江戸っ子下町の情緒に触れる事ができる並木藪蕎麦もそのうちの一つだ。創業100年の「ざるそば」は絶品の味だ。人気店なので昼時に大行列になるのは覚悟しよう。黒毛和牛すき焼きかしゃぶしゃぶを食べたい場合は、1895年から創業する「浅草今半」をオススメする。ランチメニューは1500円~なので意外にリーズナブルに楽しめる。スイートを楽しみたければ、1946年創業の老舗の喫茶店「アンヂェラス」だ。ここでは手作りのミニチョコレートロールケーキが人気の店だ。また珍しい飲み物としてはダッチコーヒーに梅酒を混ぜた「梅ダッチコーヒー」を提供している。これは小説家の池波正太郎や漫画家の手塚治虫も愛飲したものだ。

江戸時代から続く繁華街として長い間栄え、今もなお国内、国外の観光客に愛されて続けてやまない街――――――浅草。この場所に訪れることで、日本人の本質を理解することができるかもしれない。

参考サイト

浅草寺

パナソニック、浅草寺雷門に大提灯を奉納~1960年以来続く、10年に一度の大改修

高橋提灯株式会社

えびす屋浅草店

浅草神社

浅草今半

30坪の秘密基地

アンヂェラス

@japanでは下町庶民研究家の町田忍氏と秋葉原を拠点に活躍しているアイドル橘うららさんをメインレポーターに迎えて、「浅草の街」を動画で紹介いたします。

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